広告の世界ではCookieレスという言葉が飛び交っています。オンラインマーケティングは店舗集客目的でも活用されていますが、Cookieレス化によりこれまで通りの広告施策では効果が限定的になってしまうかもしれません。今回はCookieレス化が店舗集客に与える影響と、その対策について解説していきます。Cookieレス化の時代を迎え、店舗集客はどのように変化するのでしょうか? また、どのような手法を使って集客を行えばよいのでしょうか?Cookieレスの概要に関しては「世界中で加速するCookieレス!これから求められるマーケティング手法とは? – 位置情報データ活用 DX」の記事で詳しく説明しています。世界中で進むCookieレス化とはCookieとは、ユーザーがWebサイトを閲覧した際に、個人のデバイス(パソコンやスマートフォン)の中に一時的に保存される情報のことです。CookieにはWebサイトを訪れた日時や訪問回数、ID、パスワード、メールアドレスなど、さまざまな情報が記録されユーザーの識別に用いられます。Cookieにはいくつか種類があり、異なるサイトを横断して使える「サードパーティーCookie」は、複数のWebサイト上で同一ユーザーの行動を追跡できるというものです。サードパーティーCookieの情報を用いて、Webサイトを移動するユーザーの動きを分析すれば特定商品やサービスに興味のあるユーザーを判別できます。そのため、サードパーティーCookieは、商品やサービスを展開する際の広告配信やリターゲティング広告などに使われてきました。※リターゲティング広告:一度広告に触れたことのあるユーザーに、同様の広告を配信できる広告手法。例えばあるサイトでAという広告をクリックしたら、別のサイトに移動しても同じAの広告が表示される。プライバシー保護の観点からサードパーティーCookieは廃止にマーケティングにとっては有益な情報が多いサードパーティーCookieですが、このような情報収集の方法は必ずしもユーザーの意向に沿ったものではありません。近年ではプライバシー保護の観点から、世界中でサードパーティーCookieを廃止する動きが加速しており、EUでは2018年から「GDPR(一般データ保護規則)」が、またアメリカのカリフォルニア州でも「CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」が2020年に施行され、個人に関連した情報の保護と利用規制が始まりました。このような規制の開始を受け、AppleのSafariやGoogleのChrome、オープンソースのFirefoxなど、主要なブラウザでもCookieレス化が進んでいます。日本でも2022年の改正個人情報保護法が施行され、Cookieに関する規制が始まっています。サードパーティーCookieに対する規制や対策は、これまでのような人々の趣味嗜好や興味・関心ごとのデータを用いたターゲティングが困難になることを示しています。これらの流れは、店舗集客にどのような影響を与えるのでしょうか。広告のCookieレス化が店舗集客に及ぼす影響Cookieレス化は、ユーザー情報をオンラインで(Web上で)集められなくなるということです。今後Cookieレス化が進み、ユーザーの嗜好を分析して広告を配信できなくなると、Web広告のターゲティングの精度と効率(対投資効果)が落ちることになります。店舗の場合も、集客したい顧客層に絞った広告を送ることができなくなるため、やはり対投資効果が落ちてしまいます。広告の効果が落ちることを避け、店舗集客でマーケティングの効率を維持するためには、他の手段でユーザーの情報を集めるなど、広告の施策を根本的に変える必要があります。Cookieレス化に対応する方法はあるのか?確かにCookieレス化は今までの広告配信手法を変えねばならず、広告業界や広告によって事業を展開している企業にとっては向かい風となります。ただし、Cookieに依存しない他のデータや施策を組み合わせることで、より効果的な施策も可能となります。例えば、以下のようなデータや施策の積極的な活用です。・位置情報データの活用位置情報データとは、携帯電話の通信基地局やGPS、Wi-Fiスポット、ビーコン(Bluetooth)などに接続しているスマートフォンやモバイルパソコン、ナビゲーションシステムから取得できる、ユーザーの「位置」に関するデータのことをいいます。このデータを活用することによって、スマートフォンやパソコンを持っているユーザーの移動経路や行動履歴から興味のある商品やサービス、店舗などを分析できます。・OMO施策の推進OMOとはOnline Merges with Offlineの略で、オンラインとオフラインの融合を意味します。オンライン(WebやECサイト)とオフライン(実店舗)の垣根を無くし、ユーザーの視点で顧客体験の最大化を図る施策です。従来の似たような施策にはO2Oマーケティングやオムニチャネルといったものがありましたが、OMOはよりオンラインとオフラインの区分けがないマーケティング手法です。具体例としては、フードデリバリーサービスが挙げられます。ユーザーはオンラインを利用して、実店舗(オフライン)による買い物やサービスを受けられます。店舗集客におけるマーケティングは何をすればよいのか?サードパーティーCookieを使わずにユーザーの情報を集めるには、以下のような方法もあります。このようなサードパーティーCookieに依存しないデータを活用することで、ユーザーの思考や行動を分析することができます。ゼロパーティーデータやファーストパーティーデータの活用「ゼロ(0)パーティーデータ」は、ユーザーに同意を得た上で収集した自社のデータ(購入履歴や住所、職業、携帯番号、メールアドレスなど)のこと。また「ファーストパーティーデータ」とは、自社サイトや自社の従業員(営業パーソンや調査員)がユーザーから収集したデータを指します。他にもこのようなデータには、「セカンドパーティーデータ(他社が独自に収集したデータ)」や「サードパーティーデータ(第三者から提供されるデータ)」などもありますが、ゼロやファーストに比べ安全度が下がるといえます。個人に関連したデータを扱うのであれば、より信頼性の高い(安全度の高い)データを使うほうが安全です。セカンドやサードが悪いわけではないのですが、使用する際には信頼の置ける企業から提供を受けましょう。統合IDソリューションの活用統合IDとは、ユーザー1人につき匿名のIDを生成し、広告の配信とターゲティングに使えるようにする仕組みです。統合IDは統合IDサービスの提供者と提携しているさまざまな媒体で、共通のIDを一元管理することによりユーザーの行動履歴や嗜好などを分析できます。コンテキストマッチング(コンテキストマッチ広告)の活用コンテキストマッチングとは、ユーザーが見ているWebページから興味や関心の深そうなコンテキスト(文脈)を見つけ出し、その分析をもとに広告を発信する手法です。コンテキストの解析にはAI(人工知能)を用いることも多く、解析の結果から配信する広告とターゲットを定めていきます。似たような広告配信手法には「コンテンツターゲティング」や「キーワードターゲティング」がありますが、コンテキストマッチングの場合には、文脈や画像をAI(人工知能)で解析して配信対象を決定するところが相違点です。オンラインだけでなく、実店舗への来店確度を上げるためには、上記のようなデータと位置情報データの併用が効果的です。位置情報データからは、ゼロパーティーデータやコンテキストマッチングでは得られないデータの収集も可能になるからです。位置情報データを使ってユーザーの情報とジオターゲティング広告を組み合わせれば、効率的な店舗誘導が可能になるでしょう。またオフライン行動の可視化は、ユーザーの好みや傾向を顕在化することにも寄与します。まとめ:店舗集客では顧客のリアルな行動が重要になる今まで慣れてきたマーケティング手法を変えることには、とても不安を感じることでしょう。しかし、世界的なCookieレス化の流れは、もはや止めることができません。限られたマーケティングの予算を最大限に活かし、店舗への集客率を維持するのであれば、早い段階から他のデータ利用を検討しておくべきです。さまざまなデータの活用精度を上げるためにも、位置情報データを活用してユーザー目線に立った集客のためのマーケティングに努めていきましょう。%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F_63ZEb8bHC8%3Fsi%3D7wEzoM9TlK9K2dKC%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E